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国際問題コラム「世界の鼓動」

スコットランド独立の青写真

賛助会員 春海 二郎

(筆者は長年、在日イギリス大使館に勤務し、イギリス関係情報を独自に発信するサイト「むささびジャーナル」の運営をしている)

前回『英国はどこへ行くのか』という記事を載せる中で、来年(2014年)の主なる政治日程の一つにスコットランドの独立に関する国民投票が行われることを紹介しました。国民投票は9月18日に行われることが決まっており、質問は”Should Scotland be an independent country?”(スコットランドは独立国になるべきか)で、答えは単純にYes or Noのどちらかしかない。

このほど(11月26日)スコットランド独立を目指す現自治政府が独立国家としての構想をまとめた白書を発表したことはNHKでも伝えられているようですね。グラズゴーで自治政府のアレックス・サーモンド(Alex Salmond)行政府首相(First Minister)が発表したもので、白書のタイトルはScotland’s Future、670ページにのぼる分厚い書物ですが、要約版はここをクリックすると読むことができます。

もともと独立国であったスコットランドがUnited Kingdomの一部となったのは、いまから300年以上も前の1707年のことです。ここまで一緒にやってきて今さら独立だなんて・・・と私などは考えるし、スコットランド人を対象にした世論調査でもコンスタントに独立反対が賛成を上回っている。しかし直近(2011年)のスコットランド議会の選挙では「独立」をスローガンに掲げたスコットランド民族党(Scottish National Party)が128議席中の65議席を獲得して2位の労働党(37議席)を大きく引き離して単独過半数を占めて第一党になっているのも事実です。

独立反対派の意見はとどのつまり「現状維持」ということなのではないかと思うけれど、知っておきたいと思うのは世論調査的には劣勢と言われる独立派が何を目指しているのかということです。そういうつもりで白書の要約版を読んでみると、アレックス・サーモンドらが目指しているのは、社会保障の充実を通して国民的な団結心のようなものが醸成される、どちらかというと北欧諸国のような国なのではないかと思えてくる。例えば・・・

  • 児童手当の画期的拡充(A transformational extension of childcare)
  • 英国政府が行っている「寝室税」の廃止(Abolition of the “bedroom tax”)
  • 公正労働委員会の設置と最低賃金の保障(A Fair Work Commission and a guarantee that the minimum wage will rise at least in line with inflation)
  • 核兵器保持のために税金を使わない(Our taxes will not be used to pay for nuclear weapons)

などですが、白書では、英国政府が民営化した郵政事業のRoyal Mailを再国有化するとしています。全体的なトーンからして、サッチャー以来の英国が(労働党も含めて)進めてきた市場経済中心主義とは明らかに違います。スコットランドの人口は530万、フィンランドが540万でいちばん近い。北海油田が経済のかなめという意味ではノルウェー(人口490万)とも似ている。

2013年12月2日 up date

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