NPO法人 アジア情報フォーラム

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国際問題コラム「世界の鼓動」

LCC時代の内幕

会員 久宝 亙

世界の航空会社はおおむねFSC(フルサービス・キャリアー)とLCC(ローコスト・キャリアー)に大別されますが、LCCの登場はそれほど新しくも古くもないのです。すでに約40年の歴史があります。

世界で最大国内旅客数を誇るアメリカの「サウスウエスト」航空や最大国際旅行客を持つアイルランドの「ライアンエアー」もLCCです。「サウスウエスト」航空はなかなかユニークな会社で、同社の掲げるスローガンは、なんと「カスタマー・セコンド」(お客は第二)、「従業員が第一」というもので、客からそれに文句がでたら、搭乗拒否をするほどの珍しい航空会社ですが、それはともあれ、米国の場合、1970年代後半のカーター政権時代に、航空業界の規制緩和が進められました。この規制緩和の核心は①航空会社の免許の自由②参入・撤退の自由③運賃の自由の3点にあり、その結果、80年代には米国で航空会社が40社から一気に120社にまで急増しました。

既存の大手航空会社も「サウスウエスト」社の運営方式をビジネスモデルとして採用し、市場に参入してきましたが、ほとんどの場合、新しい客を創出することに失敗し、既存の客をLCCに振り向けることになってしまいました。ただ、新しい客を集めることに成功した例としてはブラジルの航空会社があります。この会社は広大な同国の国土をこれまで長距離バスで移動していた客を飛行機に振り向けることに成功し、今日も頑張っています。

一方、欧州でも「ライアンエアー」のほかに、英国で「イージー・ジェット」という格安航空会社が登場し、同社は世界第二の国内旅客数を誇っています。欧州で格安航空が相次いで生まれた背景には、国内輸送は国内業者に限定するという「カボタージュ」の撤廃、つまり輸送の自由化政策が行われたことにあります。欧州は全域に主要都市が点在しており、都市から都市へという旅客輸送の需要が大きく存在しているわけです。欧州統合の進展もこの都市間旅客の増加に大いに寄与しました。

従来の航空会社の路線運営方式は「ハブとスポークス」といわれ、一つの拠点から各地に路線を張り巡らせる方式がとられていましたが、この都市間輸送は「ポイントからポイントへ」という方式になり、これが可能になったのも、欧州統合の成果であるといえます。

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2014年9月28日 up date

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