NPO法人 アジア情報フォーラム

お仕事のご依頼・お問い合わせ

講演依頼、コラム執筆、国際交流企画など、ご相談は無料です

国際問題コラム「世界の鼓動」

「最後の元残留日本兵」訃報が問うもの

歴史と向き合うこと

現在のインドネシアは世界で最も親日感情が高い国の一つであろう。しかし、これまでに何度か書いてきたことだが、かつて80年代ぐらいまでは厳しい反日的気分がこの国に存在し、その理由のいくばくかは日本の軍政支配時代の経験に起因していた。そうした過去は、世代交代を経て、滔滔たる時間の大河のなかに流れ去ったかのように見えるが、そうではない。

2013年10月12日付け「じゃかるた新聞」によれば、インドネシア日本友好協会のラフマット・ゴーベル会長は日系企業関係者との会合の席上で、昨今日系企業を標的とする労働デモが頻発し、そのなかに「ロームシャのように扱われています」という横断幕が掲げられているデモがあったと述べ、「労使がきちんとコミュニケーションしなければ、日系企業への尊敬の念が失われていく恐れがある」「単にビジネスのみならず、ものづくり、ひとづくりの精神をインドネシア社会に積極的に伝えていかねばならない」と語った。

このことは、現在日イ両国は良好な関係にあっても、ひとたび摩擦が生じれば、消え去ったかと思われた過去の記憶が、新しい文脈のもとによみがえる可能性があることを意味している。だからこそ常日頃から謙虚に、誠実に、歴史に向き合わねばならない。この国に暮らし、この国の人々とともに生きる毎日において、そういう自戒の念を忘れないようにしたい。

「最後の元残留日本兵」訃報に接して感じたことを書いた。

1 2 3 4
2014年9月12日 up date

賛助会員受付中!

当NPOでは、運営をサポートしてくださる賛助会員様を募集しております。

詳しくはこちら
このページの一番上へ