NPO法人 アジア情報フォーラム

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国際問題コラム「世界の鼓動」

北アイルランド、再燃?

賛助会員 春海 二郎

(筆者は長年、在日イギリス大使館に勤務し、イギリス関係情報を独自に発信するサイト「むささびジャーナル」の運営をしている)

日本のメディアではどの程度報じられているのか、よく分からないけれど、英国で再び北アイルランドが妙なことになりつつあります。かつてテロ組織と言われたIRAの政治組織であるシン・フェインという政党のジェリー・アダムズ党首が、こともあろうに殺人事件にかかわったとして逮捕されるという事態になっているのです。

殺人事件が起こったのは40年以上も前の1972年12月のこと。殺されたのはジーン・マコビル(Jean McConville)という、10人の子持ちの母親だったのですが、その頃はテロ事件が相次いでいた北アイルランドで傷ついた駐留英軍の兵士を助けたというので、IRAによって密告者として疑われて拷問・殺害されるという事件が起こった。

ジェリー・アダムズ氏が直接拷問に関わったかどうかはともかく、彼が当時のIRAのベルファスト(北アイルランドの首都)におけるコマンダー(指揮官)という立場にあったとされている。但しアダムズ氏自身はIRAのメンバーであったこと自体を否定しているのですが・・・。

現在の英国ではスコットランド、ウェールズ、北アイルランドに対してはかなりの自治権を有した「政府」が存在しているのですが、英国帰属を主張する民主統一党(38議席)と強硬なアイルランド・ナショナリズムを主張するシン・フェイン(29議席)の連立政権が統治している。アダムズ氏はそのシン・フェインの党首であるわけです。

アダムズ氏は現在、警察で取り調べを受けているのですが、殺人事件への関与はもちろんのこと、自分がIRAのメンバーであったこと自体を否定しています。警察は英国時間の5月4日午後8時(日本時間の5日午前5時)までに殺人で起訴するか、釈放するかの選択をしなければならない。一方、ベルファストではアダムズ氏釈放を求める集会などが開かれ、騒然としてきているとBBCが伝えています。

2014年5月10日 up date

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