NPO法人 アジア情報フォーラム

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国際問題コラム「世界の鼓動」

「先進国」の自信喪失

賛助会員 春海 二郎

(筆者は長年、在日イギリス大使館に勤務し、イギリス関係情報を独自に発信するサイト「むささびジャーナル」の運営をしている)

 

英国の世論調査機関のIPSOS-MORIが世界20カ国を対象に、「若者の将来」というテーマで行った調査結果によると、42%が悲観的、34%楽観的という平均値が出ているのですが、欧米の人々が悲観的であるのに対して、中国・インド・ブラジル・トルコ・ロシアのような新興国の人々は楽観的であることが分かります。調査結果の全体像はここをクリックすると出ていますが、ここでは8カ国に絞って紹介してみます。

調査は三つあります。

1)現在の親世代が考える子供たちの将来
2)現在の若年層が考える自分たちの将来
3)子供たちの将来のために親世代は我慢すべきだと考える人の割合


まず現代の親世代が考える子供たちの将来ですが、中国人の親世代の8割が「いまより良くなる」と考えていて群を抜いているのですが、インド、ロシア、ブラジルなどが悲観論より楽観論が上回っている。反対に極端に悲観的なのがフランスですが、おしなべて西欧(英国・ドイツなど)は悲観論が多い。アメリカ人もかなり悲観的です。日本や韓国における楽観論は同じですが、悲観論になるとなぜか韓国の方が高い数字が出ています。


では若い世代自身はどう思っているのか?30才以下の人々の意見を聞いているのですが、ここでも中国人の楽観論が群を抜いている。楽観的という人が半数を超えているのは中国だけで、あとはすべて5割を割っている。ここでも英国をはじめとする西ヨーロッパの国々の若い世代の悲観論が目立つのですが、ちょっと意外なのは韓国の若い世代がかなり悲観的なのですね。韓国の場合、親も含めたすべての世代は若者の将来について4割が楽観的なのに、若い世代自身ではそのような感覚を持つ人は3割を切っている。日本の30才以下は世界平均より楽観的で、韓国、西欧諸国、アメリカに比べるとかなり楽観的です。これもちょっと意外な気がしませんか?


3つ目の「年寄りは若い者のために犠牲になるべきか」という質問については、韓・中・日が平均よりも「なるべし」という意見が多く、ロシアも含む欧米はすべて平均以下となっています。欧米とアジアの感覚の違いなのかもしれないのですが、このグラフには入っていないけれど、この部分に関してはトルコ人の7割が、親は子供の将来のために犠牲になるべしと考えておりこれがダントツです。一方、ドイツ人が極端に拒否反応を示しているけれど、これは何なのか?IPSOS-MORIによると、これは必ずしもドイツの年寄りが利己主義というのではなく、親は親、子は子という意識が強く、親が子供世代の重荷になりたくないという意識の表れだとしています。

2014年5月10日 up date

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