NPO法人 アジア情報フォーラム

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国際問題コラム「世界の鼓動」

防災文化を定着させるために

若者たちの取り組み 

 日本から戻ったアリフ記者に聞いてみた。今回の日本滞在において最大の学びは何であったか。

 うなずいて彼は答えた。「日本は未来の災害襲来を覚悟し、その被害を可能な限り減じるために、過去の災害体験から学びとろうとすることを社会の基本価値としている。つまり防災文化が社会に定着している国だ。こうした文化をインドネシアにも根付かせなければならない。」

 コンパス紙が取り組んでいる「環太平洋火山帯」連載も、防災文化をインドネシアに普及したいというアリフ記者の志を反映するものであろう。

 文化交流を通じて、防災文化を広めていこうと観点から、国際交流基金ジャカルタ日本文化センターでも様々な取り組みを行っている。

その中でモデル・プロジェクトとして発展してきたのが、「日本・インドネシア防災教育 若者コンペティション」である。一年前の第一回については既に本通信11号、14号で既に紹介したが、今回は第二回にあたる。第一回応募が556名であったのに対して、今回の応募は1276名と倍増した。このなかから選ばれた防災教育に取り組む大学生24名を表彰した。表彰された24名には、外務省の「JENESYS2.0」事業によって日本に招かれ、防災を含めた現代日本の今に触れる機会が与えられた。

 優秀学生を選ぶプロセスでは、防災教育が広くインドネシア社会に共有されるよう、幾つかの仕掛けを、我がセンターの後藤愛、アディ、ケマルなどの中堅・若手職員たちが考えた。その一つが、書類選考から第二次選考に進んだ26チーム・104名(男女各2名、合計4名によるチーム制が応募条件)に、自分たちの防災活動をアピールする短編ビデオを作成し、Youtubeに投稿することを課したのである。

この投稿に基づき、①自分たちの活動が直面する災害リスクへの理解の確かさ・深さ(防災理解の深さ)、②提案されている防災アイディア(問題解決提案能力)、③短編ビデオのアピール力(コミュニケーション能力)、以上3点を基準とする専門家による審査によって優秀学生を選出した。

彼らの取り組みを広く社会に紹介するために、この26チームの短編ビデオをジャカルタ日本文化センターのフェイスブックに公開したところ、審査期間中だけでも3800の「いいね!」が寄せられた。

 中でもとりわけ私が感心した一本「Blinds’Clue」をぜひ一覧いただきたい。

http://www.youtube.com/watch?v=RkiBkef77t8

(26本全編ご覧になりたい方はこちらから)

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=585550104850637&id=150311718374480

  ソーシャル・メディアを活用した、新しい防災の社会的記憶術として、今後この手法は、様々な局面での活用が考えられるだろう。

 ちなみに全ての投稿ビデオに登場する黄色いメガホンは、ノボル電機製作所がCSR活動の一環としてインドネシアに寄贈してくれたもので、ジャカルタ日本文化センターがこれを受け取って、本コンペティションを通じて、防災活動に取り組んでいる各地の学生、市民に配布した。防災に貢献したいと心をこめてメガホンを作ったノボル電機製作所の社員さんが、自分たちの手塩にかけた製作品がインドネシアの現場で活躍している映像を観て、大変喜んでくれていると聞き、春の陽がさしてきたような温かい気持ちとなった。。

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2014年3月28日 up date

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