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賛助会員 小川 忠
(筆者は国際交流基金のジャカルタ事務所長として独自に情報発信をしている)
東日本大震災発生から3年目となる今年の3月11日、この日のインドネシアの「コンパス」紙は、「津波防災:学び続ける日本」と題する、アーマッド・アリフ記者の署名記事を半ページさいて掲載した。インドネシアを代表するこの新聞は、3年の年月を経ても「3・11」を追い続けている。
アーマッド・アリフについては、一年前のジャカルタ通信14でも紹介した。2004年のインド洋大津波以来、広大な被災地を駆け巡ったことをきっかけに、インドネシアの防災・災害復興のあり方について問題提起を続けてきた災害報道の専門家だ。昨年国際交流基金フェローシップを得て日本に滞在し、東日本大震災の被災地を歩き被災者の声を聞き、行政関係者や研究者とも意見交換を重ねて、年明けにインドネシアに戻って来た。
彼の帰国後、インドネシアではスマトラ島シナブン山や東ジャワ州クルド山で火山噴火が相次ぎ、大きな被害が出たが、これら災害報道においても、彼は日本での研究成果を反映した視点を盛り込んだ記事を執筆して、自然災害多発国の論壇に一石を投じている。(写真:火山噴火に関する新著を手にするアリフ記者)
3月11日付け掲載記事の書き出しはこうである。
「3年前東日本の、10年前アチェの海岸を大津波が襲い、そのすさまじい破壊力を見せつけた。そして今アチェでは津波が直撃した海岸の同じ場所で復旧が行われた。一方日本は、〔高台移転や建築規制により〕津波被災地の景観を大きく改めようとしている」