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国際問題コラム「世界の鼓動」

インドネシア語、世界へ(?)

 しかし、その言語政策の足元を見ると、その自信とは裏腹の課題も透けて見えてくる。

 国際社会における英語の存在感が圧倒的に強くなっているグローバリゼーションの時代、現代インドネシア語も英語の影響を強く受けている。どこまで英語の浸透を認めるのか、外国語教育と自国語教育のバランスをいかに保つか、という問題は、日本が直面している課題でもある。

 さらに多言語国家特有の課題として、国が国語としてインドネシア語教育を強力に推進したことにより、地方言語・民族言語が衰退、消滅の危機に瀕しているという批判が国内からあがっていることである。インドネシア語の海外普及を進める前に、各民族の言語権を守れ、言語の多様性を保持、発展させるべきであるという声に、中央政府はどう応えていくのか。

1928年の「青年の誓い」を決議した参加者の見識が今も高い評価を得ているのは、当時4100万人もの話者がいた多数派のジャワ語を「国語」に選ばず、話者数50万人前後であったにもかかわらず、誰もが学びやすく、複雑な敬語表現がなく民主的と考えられたムラユ語を選んだことである。

「青年の誓い」を学ぶ次の時代の青年たち少数派への目配り、言語多様性への感受性が、その後のインドネシア国民統合に大きな貢献を果たしたと言えよう。(写真:「青年の誓い」を学ぶ次の時代の青年たち)

 もし、今インドネシアが東南アジア第一の大国としての国力を根拠にアセアン隣国へのインドネシア語普及を強引に進めるならば、それは建国の父たちの普遍的理念に反することにならないか。インドネシアの良識を信じたい。

ただ、これとは別次元の話として、東アジアや欧米の、もっと多くの人びとが主体的に東南アジア言語を学ぶべきと思う。現状は双方向性に欠けている。

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2013年11月25日 up date

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