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国際問題コラム「世界の鼓動」

教材としてのBarefoot Gen(はだしのゲン)

賛助会員 春海 二郎

(筆者は長年、在日イギリス大使館に勤務し、イギリス関係情報を独自に発信するサイト「むささびジャーナル」の運営をしている)

 

松江市の教育委員会が学校の図書館で閲覧制限を加えようとして話題になった漫画『はだしのゲン』ですが、第1弾が『月刊少年ジャンプ』(集英社)に掲載されたのは1972年、著者の中沢啓治さん(2012年死去)は私より二つだけ年上なのですね。私自身はこの漫画の名前だけは聞いたことがあったけれど読んだことはなかった。松江市の教育委員会でこの作品が問題になったことについて、英国では(私の見た限りですが)8月23日付のTelegraph、同26日付のGuardianのサイトがごく短く伝えていました。

『はだしのゲン』の英訳は”Barefoot Gen”というのですね。これをキーワードにして検索していたら、おそらくアメリカのものと思われるComics Observerというサイトに行き当たりました。漫画やコミック関連情報が掲載されているサイトなのですが、アナスタシア・ベッツ(Anastasia Betts)という元小学校教師が、”Barefoot Gen”を教材として使ったときの経験を語るエッセイを載せていました。

ベッツさんは南カリフォルニアで暮らしており、現在は教材制作会社を経営しながら、漫画やイラストを学校教材として使う研究と運動に取り組んでいます。Comics Observerに掲載された彼女のエッセイ(かなり長い)をエッセンスだけ紹介してみます。エッセイのタイトルは

Comics in Education: Teaching Controversial Comics

教育と漫画:物議を醸している漫画を教材として使うということ

となっています。ベッツさんによると、この漫画で使われている「ドタバタ風暴力シーン」(slapstick type violence)に慣れるのにちょっとだけ時間がかかったけれど、数ページ読み進むうちにこのストーリーにのめりこんでしまった(get lost in the story)のだそうです。

『はだしのゲン』はこれまでに読んだコミックの中でも私が最も好きなものだ。静かで、謙虚で、子供らしい。この漫画を数巻読んでいくと、非常に良くできた子供のための漫画を読んでいるような気になる。表向きは娯楽だが皮をむいていくと深い意味がいっぱいに詰まっているという感じである。

It is, I believe, my most favorite comic of all time. It is quiet, unassuming, and childlike. Reading portions of this comic is like watching a very clever child’s cartoon: entertaining on the surface, but chalked full of meaning if you begin to peel back the layers.

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2013年9月8日 up date

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