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国際問題コラム「世界の鼓動」

石油大国ベネズエラーー故チャベス大統領鎮魂歌 

この大統領が2009年4月、8年ぶりに日本を訪問した。この訪日の背景には多様な事情があったが、要は日本との経済協力関係強化を求めてのものであった。駐在国大使として接遇にあたったが、そのポピュリスト政治家としての見事なまでの動き方に感心させられた。帝国ホテルが宿泊先であったが、その出入りには日本側警備当局、ホテル側が要求したVIP用の出入り口は使用しない。正面玄関から入って、出迎えの外交団、一般宿泊客のあいさつを受けつつ、エレベーターまでの50メートルほどの距離を行くのに1時間くらいかける。予定されている日本側民間人との面会予定は全く無視される。そんなことが繰り返された。

そうした大衆政治家の一面を示しながら、同時にセキュリティへの配慮は大変なもので、4,50人に及ぶ警備陣を各所に配置し、さらに食事はすべて同行した調理担当者がホテルの厨房を借りて作ったもの(食材の買い出しもこれらの調理人が行ったと聞く)を自室で食べるという徹底ぶりであった。

とにかく時間を無視するというのも、悩みの種であった。突然の訪日であったので総理との首脳会談は当初45分という短時間しかとれなかった。ホテルの出入りに1時間もかかると言うので、さてどうなるかと心配したが、その時は時間通りに出発、それもきちんとVIP出入り口を利用してくれた。少し余裕をもって時間設定をしていたので、途中でちょうど満開の桜を見つつ総理官邸に到着した。さすがのチャベス大統領も事の重要性はよく理解している、というより、時間を守らない場合もそれなりの計算してのことであるということが分かる思いであった。

どうもわれわれとは時間の感覚が違うということなのであろうか、演説の長さにも驚かされた。毎年1月に国会での施政方針演説に外交団も招かれる。指定された時間に行くと閣僚、議員などはすでに来ているが、肝心の大統領はなかなか現れない。2時間以上待ってようやく大統領が到着するが、これまた入口からいろんな人に挨拶をしつつ入ってくるので、また時間がかかる。そして演説が始まると、原稿もなしに7時間、8時間と演説する。それもチャベス大統領は立ったまま、一度も中座することなく滔々としゃべるのである。外交団も他の所用のため、半分以上が途中で退席するが、それはお構いなしである。大統領の体力には本当に感心させられたものである。

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2013年9月7日 up date

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