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国際問題コラム「世界の鼓動」

石油大国ベネズエラーー故チャベス大統領鎮魂歌 

日本の輸入石油の対中東依存度が90%近くになっている現在、エネルギー安全保障の観点からも、中東以外の地域からの輸入ルートの確保は重要と考えるが、どうしてベネズエラからの輸入が、もっと真剣に考慮されないのか、個人的には不思議でならない。

もちろん日本もベネズエラの石油を全く無視しているわけではなく、私の在任中にエネルギー当局間の協力取り決めが結ばれ、日本もベネズエラ石油の開発に参加できることになった。この取り決めに基づき、毎年民間も参加してエネルギー当局間協議が行われている。また、2009年のチャベス大統領の訪日時には、ベネズエラからオリノコ川北部にある4つの産油地帯の一つであるフニン11という鉱区を日本が獲得することになり、初めて上流部門に参加するという進展はあった。同時に、同地域のカラボボ鉱区の開発が国際入札にかけられ、日本も米国メジャーと組んで開発権を獲得することに成功している。ということで、徐々にではあるが、日本とのエネルギー関係も進展しているのであるが、私はこの関係をもっと早く、強力に推進すべきという焦りの気持を抱いている。

ベネズエラ在勤中の大統領は、世界的に注目を集めていたウーゴ・チャベス大統領であった。1999年に初めて大統領に就任し、赴任した時にはすでに在任9年目、まさに権力の頂点にあるという感じの時期であった。92年に陸軍中佐時代にクーデターを主導して失敗、その後短期間の服役のあと98年の大統領選挙に出馬、選挙前の予想に反して当選したという経歴からもわかるように、大衆に人気のある政治家であった。信任状奉呈までに4カ月以上も待つことになったことに象徴されるように、在任中大統領との接触の機会は多くはなかったが、会ってみると非常に魅力的なオーラのある大統領であった。

チャベス大統領と言うと、反米の民族主義的社会主義者で、国連総会でアメリカ大統領のことを悪魔の匂いがすると発言するなど傍若無人な言動で、なんとなく「暴れん坊」で異端児という印象である。確かにそういう面があることは否定できないが、実際に会うと、なかなか繊細で、きめ細かい気配りのできる大衆政治家でもあった。

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2013年9月7日 up date

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