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国際問題コラム「世界の鼓動」

オバマ政権2期目の北朝鮮政策

飯山 雅史(会員)

日米韓の外交当局は、そろそろ、対話による北朝鮮の非核化という幻想を明確に放棄すべきではないだろうか。関係国が対話幻想にしがみつくことで、北朝鮮は“6か国協議への復帰”というカードを切れば食糧支援が得られ、“協議からの離脱”という脅しでも再び支援を受けることができる。協議で核開発凍結という意味のない約束を振り回せば、また新たな支援を獲得することができ、その裏ではウラン濃縮体制を構築し、核兵器の小型化を進め、着実にミサイルの射程を伸ばしてきたのである。

1990年代はじめの北朝鮮核危機以来、20年余りの北との対話は、非核化に対して無力だっただけでなく、北朝鮮に時間と資源を与えて核開発環境を整備してきたとさえ言えるだろう。“金王朝”には、対話と説得に応じて核を放棄する意志などないことは、“約束”と“約束破り”の繰り返しから、すでに明らかだ。6か国協議は、北朝鮮の暴発を防ぐために一定の意味があるとしても、筆者は、協議と対話の再開自体を外交目的にして、そのために日米韓が譲歩することがあってはならないと考えている。それは、北朝鮮の新たな瀬戸際政策を生み出すだけである。

オバマ政権は2009年の発足時に、この対話幻想を捨てたはずだった。「同じ馬を2度も買わされることには、飽き飽きした」(ロバート・ゲイツ国防長官=当時)と宣言して、北朝鮮の空虚な約束に振り回された過去の対北政策と決別した。そして、北朝鮮が実質的な核放棄の姿勢を示さない限り、直接交渉や食糧支援などを行わないとする「戦略的忍耐」を基本理念にすえたはずである。

しかし、二期目オバマ政権が、この基本理念を維持するのかどうかは、まだ明らかではない。4月12~15日の日程で、韓国、中国、日本を歴訪した二期目政権のケリー国務長官の言葉からは、再び対話による解決という幻想が漂い始めているからだ。ケリー長官は2011年の上院公聴会で、「我々が適切と判断した時に、北朝鮮との直接交渉に踏み込むこと」が、核開発を止める「最良の選択肢」だと主張したうえで、「北朝鮮との対話は、悪い行いに報酬を与えるようなものだ」という考え方を批判してきた人である。

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2013年4月30日 up date

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