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国際問題コラム「世界の鼓動」

オバマ政権2期目の北朝鮮政策

今回の訪日でも、ケリー長官は「適切なタイミングと環境が必要だ」と条件をつけながら、「我々は(北朝鮮に)手を差し伸べる(reach out)用意がある」と述べた。ソウルでは「(アメリカは北朝鮮批判の)レトリックを穏やかにした」ことを明らかにし、予定された米軍のミサイル試験を中止して、北朝鮮の挑発に譲歩的姿勢さえ示した。

ケリー長官は、上院外交委員長もやった外交政策のベテランだが、アジア問題に精通しているわけではない。意欲を燃やしているのは中東和平のようで、初外遊は中東と欧州。エルサレムには就任以来、3回も訪問している。今回は、3回目の中東訪問の後、主要8か国外相会合に参加して、それからようやくアジアに足が向いたところだ。前任のヒラリー・クリントン前国務長官が打ち出したアジアへの戦略的回帰政策にも、あまり積極的な発言をしておらず、北朝鮮問題に米国の外交力や軍事力をつぎ込むことには、躊躇があるのかもしれない。

もっとも、オバマ大統領の方は、NBCテレビのインタビューで「我々は、北朝鮮の挑発的な行為に報酬を与えることはない」と断言し、一期目からの原則的な姿勢を貫いている。ケリー長官も、まだ助走期間であって、今の発言をとらえて今後4年間の方向性を占うのは、やや先走りと言えるだろう。

さらに、国務省では、まだ、北朝鮮や東アジア政策に関する現場の最高責任者であるアジア太平洋担当の国務次官補が決まっていない。ブッシュ(子)政権時代に、北朝鮮への譲歩政策を重ねたクリストファー・ヒル国務次官補と、一期目オバマ政権を担ったカート・キャンベル次官補では、北朝鮮政策は大きく異なっている。この人事の行方も、二期目政権の方向性を考える上では見逃せない。

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2013年4月30日 up date

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