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国際問題コラム「世界の鼓動」

フィンランド人の幸福度

賛助会員 春海 二郎

(筆者は長年、在日イギリス大使館に勤務し、イギリス関係情報を独自に発信するサイト「むささびジャーナル」の運営をしている)

mj394-finnishhappytop3月初めに国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(Sustainable Development Solutions Network:SDSN)という組織が発表した「世界幸福度報告書」(World Happiness Report)というレポートによると、世界で最も幸福度が高い国はフィンランドなのだそうですね。3月26日付のThe Economistに出ていました。この報告書はSDSNという組織自体が調査した結果の報告ではなくて、アメリカのギャラップ社が行っている国際世論調査の結果をまとめたものです。2018年の報告書では2015年~2017年の3年間の調査をまとめているのですが、156か国中のトップ4がフィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドという北欧諸国が並んでいる。このあたりの順位についてはここ数年全く変わっていない。

世界幸福度ランキング

世界幸福度ランキング

世の中にはいろいろな国がある。それぞれを性格付ける尺度もGDP、社会福祉制度、選択の自由、政治に汚職が少ない等いろいろあるけれど、要するにそれぞれの国の人びとがどの程度の自分の生活に満足しているか(how pleased people felt with their lives)ということにこれらの尺度がどのような影響を与えているか・・・それをまとめたのがこの報告書なのだそうです。

The Economistの見るところによると、人びとの幸福感覚は、その国の社会的な支援制度が充実していて、「落伍者」と呼ばれる人びとが少ないことから生まれるのではないか、と。経済的な貧困国や戦争やテロに見舞われている国は幸福度が低い。イエメンやシリアがその例であり、156か国中156位となった東アフリカのブルンジ共和国は1962年の独立以降、多数派のフツと少数派のツチの間で対立があり内戦にまで発展している。

mj394-finlandflagで、フィンランド人はなぜそれほど幸せなのか?あの国の諺に「幸せとは、夏を過ごす赤い山小屋とジャガイモ畑を持っていること」(Happiness is having your own red summer cottage and a potato field)というのがあるのだそうです。山小屋でジャガイモを育てながら夏を過ごす・・・フィンランド人の幸福を支えているのは「退屈」(how boring it is)ということなのかもしれない、とThe Economistは言っている。ただ、フィンランド人が世界のどの国民よりも幸せなのは、教育費がタダ、休暇の取得にも寛大、ワーク・ライフ・バランスに優れているetcの条件に恵まれているからこそのハナシで、それがあるから山小屋でジャガイモを育てることも楽しめるということかもしれない(とむささびが呟く)。

2018年の報告書では、初めて「移民」を幸福度の尺度に入れている。それぞれの国で移民として暮らす人びとの幸福度はもちろんですが、移民を受け入れている国の人びとの幸福度も考慮に入れている。そこでもフィンランドはトップなのだそうです。ただ、The Economistによると、フィンランドの「移民が幸せ」という理由の一つは、移民がエストニアやロシアのように比較的近くの国から来ていることがあるということなのだそうです。

2018年4月2日 up date

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