NPO法人 アジア情報フォーラム

お仕事のご依頼・お問い合わせ

講演依頼、コラム執筆、国際交流企画など、ご相談は無料です

国際問題コラム「世界の鼓動」

北朝鮮核危機をめぐるグレート・チキンゲーム(中)ーー 半島の非核化

マティス国防長官、ティラーソン国務長官が金体制を保証

WSJ紙にマティス国防長官とティラーソン国務長官が14日、共同で寄稿した論文は冒頭に紹介したように「米国の目的は朝鮮半島の非核化だ。体制転嫁や半島の統一の加速には関心がない」として金委員長を安心させる一方で「米国は北朝鮮と交渉することを厭わない。これまで北朝鮮は不誠実な対応を見せ、国際的な合意に繰り返し違反し続けてきた。北朝鮮は誠意をもって交渉を進める態度を示さなければならない。挑発的な脅しや核実験、ミサイル発射、その他の兵器の実験を即時に停止することがその意思表示になる」と真摯に対話を呼びかけている。
国家安全保障担当のマクマスター大統領補佐官は13日、テレビインタビューで「10年前と比べれば北朝鮮との間は戦争に近づいているかもしれないが、1週間前と今とを比べて戦争が近づいているわけではない」と語っており、極めて冷静に対応している。
英This Week誌は8月25日号で「3人の男と赤ん坊」というタイトルの風刺画を掲載した。駄々をこねるトランプ大統領の赤ん坊をマティス国防相、マクマスター補佐官、ケリー首席補佐官の3人があやしている図だ。3人とも元ゼネラル(大将)でありながら、好戦的な印象を与えている大統領とは対照的に言動は常に抑制が効いている。トランプ政権は大統領が悪役を演じ、閣僚は抑えに回るという役割分担を演じているようだ。
中国がミサイル発射に厳しい警告を発し、米政権の主要閣僚が対話を呼びかけたため、さすが、金委員長も15日「米国の行動をしばらく見守る」と譲歩せざるを得なかった。国内向けには、米国が対話の条件を出したので、検討しているということで説明がつく。
北朝鮮がグアムへのミサイル発射などの挑発行為を取りやめるのかどうか予断を許さないが、非核化に向けた米朝対話はようやく緒につき始めたようだ。
20日のロイターは21日からの米韓合同軍事演習の米軍参加者が1万7500人で昨年の2万5000人から7500人も減っていると伝えた。マティス国防長官は「単に必要な人員が少なくなっただけ。数カ月前からの演習計画に沿ったものだ」とコメントしたという。韓国軍の参加者は昨年と同じ5万人。この米軍の参加人員の縮小は、金委員長への配慮になる。金委員長が「米国がわれわれの要求を受けいれ米韓合同軍事演習規模を縮小した」と国内向けにアピールできるためだ。

次回に続く

(当記事は、2017年5月02日掲載記事の続編です

 

1 2 3 4
2017年8月26日 up date

賛助会員受付中!

当NPOでは、運営をサポートしてくださる賛助会員様を募集しております。

詳しくはこちら
このページの一番上へ