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国際問題コラム「世界の鼓動」

イスラムの倫理と資本主義の精神

イスラム金融を扱う銀行窓口「ビジネス・インドネシア」紙(本年2月3日付け)によれば、インドネシア金融監督庁は、国内銀行の資産総額においてイスラム金融の占める割合が今年中に7%を超える見通しであるという。現時点で、二つの非イスラム銀行がイスラム金融に業務形態を変更する予定であるからだ。同庁の統計では、2013年11月時点のイスラム金融の総資産は233兆ルピアで、国内銀行総資産の4.8%だったことを考えると、急速にイスラム金融がインドネシア社会で拡大していることが推察できる。(写真:イスラム金融を扱う銀行窓口)

以上紹介したインドネシアにおけるイスラム金融の拡大という現象は、①宗教が多様な消費者のニーズに応え、新たな市場を作りだして活性化することで経済に貢献しているという側面を有する同時に、②宗教がグローバル資本主義体制において生き残るための戦略的適合、という両義性をもっていることを指摘しておきたい。

イスラム金融に基づくクレジットカード勧誘①について少し補足しよう。イスラム化が進行するインドネシアにおいて、自らのイスラム信仰や道徳に沿った清らかな社会生活を送りたいと願う中間層が拡大しているのはこれまでにも本通信で述べてきた通りで、ここに新たな市場ニーズが生まれている。さらに彼らの要望に沿った金融制度は、より広範な層からの投資を促し、そうした資本に基づいて実施されるプロジェクトによって経済は一層活性化する(写真:イスラム金融に基づくクレジットカード勧誘)。

次に②についてだが、グローバル資本主義下のイスラム生存戦略という側面において、注目したいのがイスラム金融を考え出した人々の「解釈力」だ。

イスラム金融に対する根強い批判の一つが、「利子という概念を使わず」とも、事実上の利子取得が行われているのであり、非合理な教義に辻褄をあわせるための偽善に過ぎないというものだ。しかし、現代を生きるイスラム教徒が、資本主義の論理に抗して個人の生き方を律する信仰、内面世界の秩序を守りつつ、現実世界に乖離しない程度に信仰を解釈していくことは創造的で、新たなライフスタイルを創出していく、敬意を表すべき営為である、と私は考える。宗教と世俗のあいだに均衡をとるべく模索を重ねてきたのは、イスラムのみならず他の宗教教義も同じであろう。

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2014年2月23日 up date

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