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8月18日から20日までインドネシア外務省と民間組織「インドネシア・ディアスポラ・ネットワーク」が「第2回在外インドネシア人会議」(Congress of Indonesia Diaspora)をジャカルタで開催し、在外インドネシア人3880人が参加して注目を集めた。主宰者の「インドネシア・ディアスポラ・ネットワーク」代表によれば、この出席者数は当初目標の三千人を大きく超えるもので、26カ国から出席登録があったという。そのなかには、日本、米国、サウジアラビア、クウェート、オランダ、スウェーデン、オーストラリア、マレーシア、ミャンマー等からの参加者が含まれている。
開会式にユドヨノ大統領やマリ観光・創造経済大臣ら有力閣僚が出席していることからも、インドネシア政府の同会議重視姿勢を読み取ることができる。大統領は参集した在外インドネシア人出席者に向かって、「頭脳、心情、血のなかに『インドネシア』が存在し続ける限り、貴方がたは変わることなくインドネシア家族の一員であり続けるのだ」と語りかけた。
在外インドネシア人は、どれくらい世界にいるのか。ウィキペディアが集計した数字によると、全世界の在外インドネシア人数は、おおよそ531万人である。(http://en.wikipedia.org/wiki/Overseas_Indonesian)ちなみに海外在留日本人は118万人、日系人は推定300万人。一つの比較材料となるだろうか。
在外インドネシア人の主な居住先は以下の通り。
順位 |
居住先 |
人口 |
順位 |
居住先 |
人口 |
1 |
マレーシア |
2,500,000 |
8 |
スリナム |
90,000 |
2 |
サウジアラビア |
1,500,000 |
9 |
オーストラリア |
86,196 |
3 |
オランダ |
410,800 |
10 |
米国 |
70,000 |
4 |
シンガポール |
200,000 |
11 |
フィリピン |
43,871 |
5 |
台湾 |
161,000 |
12 |
カタール |
36,000 |
6 |
香港 |
102,000 |
13 |
日本 |
30,567 |
7 |
アラブ首長国連邦 |
100,000 |
14 |
韓国 |
30,000 |
マレーシア在住者が全体の半数を占めるのは、インドネシアが国家として独立するはるか以前から、狭いマラッカ海峡をはさんで、マレー半島(マレーシア)とスマトラ島(インドネシア)のあいだで盛んに人の行き来があったという歴史的背景がある。しかし、2位のサウジアラビアと同様に、失業対策の観点からインドネシア政府が女性を家事労働者として出稼ぎに送り出してきた政策の影響が大きく、こうした女性労働者たちが居住先で深刻な人権侵害を受けるケースが相次いでいることから、政府は彼女たちを守るためにもっと積極的に動くべきという世論が根強い。
これに対して、主催者である「インドネシア・ディアスポラ・ネットワーク」は、従来の「在外インドネシア人」をめぐる議論が主として出稼ぎ労働者をめぐる問題に集中しすぎたきらいがあり、世界各地に居住する在外インドネシア人の多様なあり方について目を向ける必要あり、という趣旨から今回の会議を企画したという。