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賛助会員 小川 忠
(筆者は国際交流基金のジャカルタ事務所長として独自に情報発信をしている)
8月下旬から9月初旬にかけて、「大相撲ジャカルタ巡業」「アニメ・フェスティバル・アジア・インドネシア」「第5回ジャカルタ日本祭り」と、それぞれ数万人規模の集客力をもつ大規模日本関連イベントが、相次いでジャカルタで開催された。このような短期間に大型事業が波状的に続いた例は記憶になく、日本・インドネシア交流史において特筆に価する事象だったのではないか。
大相撲巡業は、スポーツとしてのわかりやすさと、文化としての様式美から反響を呼び、当地有力紙「コンパス」は「大相撲史上初めて東南アジア巡業がジャカルタで開催されたのは、当地の市民にとって幸運なことだった」と大きく写真付きで報じた(8月25日同紙2面)。ジャカルタ日本祭りの終幕では、来年の大統領選挙に出馬すれば当選間違いなしと囁かれるジョコウィ・ジャカルタ特別州知事もやって来た。
このような成功を考える時に見逃してはならないのが、インドネシアに在留する邦人、日系インドネシア人といった邦人社会による無償の協力である。大相撲ジャカルタ巡業やジャカルタ日本祭りでは、大使館の呼びかけに呼応して、彼らを中心に「実行委員会」が結成され、資金面のみならず運営面でも綿密に準備を進めて大型事業を支えた。これら邦人市民の積極的な参画がなければ、盛り上がりに欠ける平板なものに終わっていたかもしれない。(写真:「ジャカルタ日本祭り」に登場した日本、インドネシア市民がかつぐ神輿)
私もこれら「実行委員会」の末席に加えていただいたが、改めて、自分だけでできることは限られており、在インドネシア邦人社会との協働が不可欠であることを痛感した。以下、今回注目したインドネシア外交の新しい取組みは、こうした問題意識とも関わりがある。