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国際問題コラム「世界の鼓動」

「ほとんどの」子供たちが非婚の親を持つ時代

そもそも何故「非婚の親」がこれほどまでに増えたのか?それには女性の社会進出が急激に増大し、女性の役割が必ずしも専業主婦ということではなくなったということがある。それからこの問題は英国における移民の増加ということと併せて考える必要がある、とThe Economistは言っている。英国におけるいわゆる「庶出児」の割合がまだ47.5%で50%の危険ラインを突破していないことには理由があると言います。それは昨年の新生児の数には「英国生まれではない母親」から生れた子供の数も含まれているということです。ONSの調査を仔細に見ると、実は「英国生まれの母親」に生まれた子供については、その半数以上(54%)が庶出児になってしまっている。母親が英国生まれではない人たち(移民)の間における庶出児の割合は25%にすぎない。それが全体としての庶出児の割合を引き下げて辛うじて5割以下を保っている、とThe Economistは指摘します。

The Economistの指摘によると、保守派が大事にしようと叫んでいる「伝統的な家族」という形が堅持されているのは、実は英国の中でも移民社会(特にパキスタンのような南アジア系)のハナシです。パキスタンやバングラデッシュのイスラム系移民社会において「非婚の親」に生れる子供の割合はわずか3%にすぎない。この社会では家族の中の稼ぎ手は一人であるケースが圧倒的に多く、働く女性の割合も3分の1以下です。保守派が主張している「結婚ファミリーへの優遇税制」によって得をするのは、伝統的な家族形態を堅持している移民家庭が多くなるだろうということです。

TelegraphやCentre for Social Justiceに代表されるような保守派の人たちは「南アジアからの移民家族を見習おう」と言っているだろうか?全く逆です。いまから6年前、キャメロンが保守党党首として演説をして英国におけるイスラム女性に対して「もっと世の中に出よう」と呼びかけたりしています。つまりイスラム女性も世の中に出て仕事をするべきだと訴えたわけです。しかし英国において庶出児の数が増えてしまった背景の一つとして女性の社会進出があると考えても不思議はない。それを促したのがキャメロン党首であるということです。

キャメロンが約束してしまった結婚奨励免税は、仕事を持っている女性に「家庭に戻れ」と勧めるようなもので「そんなことをする英国女性はほとんどいないだろう」(something very few white British women now do)というわけで、The Economistのブログは、そのあたりの保守派の矛盾について

どうやって説明するんですか?

What on earth can explain this?

と言っている。

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2013年7月29日 up date

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