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国際問題コラム「世界の鼓動」

「ほとんどの」子供たちが非婚の親を持つ時代

 賛助会員 春海 二郎

(筆者は長年、在日イギリス大使館に勤務し、イギリス関係情報を独自に発信するサイト「むささびジャーナル」の運営をしている)

7月10日付のTelegraph紙のサイトに

Most children will be born out of wedlock by 2016

という見出しの記事が出ています。out of wedlockは「庶出の」という意味だから、

英国で生まれる子供のほとんどが2016年までに婚姻関係にない両親の間に生まれるようになる。

という意味になる。

英国統計局(Office for National Statistics:ONS)の発表によると、昨年(2012年)英国で生まれた子供の数は約73万人、うち約35万人(47.5%)が「庶出」であったのですが、1979年ではわずか11%にすぎなかったのが1988年では25%へと激増して2012年のような数字になっている。このままのペースで増え続けると2016年には過半数の子供が「非婚の母親」に生れることになる・・・と保守派のTelegraph紙は警告しているわけです。2011年の国勢調査では結婚しているカップルは全世帯の45%と半数を切った。結婚カップルの数が5割を割ったのは国勢調査が始まった1801年から初めてのことなのだそうです。

このような傾向についてCentre for Social Justiceという保守派のthink-tankのクリスチャン・ガイ(Christian Guy)理事は次のようにコメントしています。

結婚している両親の下で育つ子供が(そうでない子供よりも)機会に恵まれた人生を送るということははっきりしている。政府は家族を大事にする政策を行うという約束を実行しなければならない。

Evidence shows quite clearly that children growing up with married parents tend to have better life chances. The Government must deliver on its family friendly pledge.

というわけで、この組織は結婚カップルには減税という形の経済支援をするべきだと政府をプッシュしている。そのせいもあって、キャメロン首相は今年中に結婚しているカップルを対象に150ポンドの減税をすると明言したりしています。

親が結婚関係にないということが家庭崩壊に繋がり、子供たちに及ぼす影響が重大だというのがTelegraph紙の記事のメッセージであるわけですが、The Economistのブログも同じ統計局の発表について語っている。けれどトーンはTelegraphを始めとする保守派の言い分に懐疑的です。

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2013年7月29日 up date

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