「科学技術　メディア　社会」（北村行孝、柴田文隆著　東京農大出版会）

現代社会は様々な領域で、科学技術に大きく依存している。自然界や生命現象の謎の解明など基礎的研究活動に始まって、医学・医療やエネルギー・通信などの社会基盤、自然災害、経済活動、軍事・安全保障、国際政治・・・。こうした科学技術に関する報道活動は「科学ジャーナリズム」と呼ばれ、近年では「科学コミュニケーション」の必要性も指摘されている。

新聞社の科学部で長年記者活動を行った後、大学で「科学メディア論」「科学技術と社会」などの分野を教えている著者らがこのほど、「科学技術　メディア　社会――科学ジャーナリズム・コミュニケーション入門」（北村行孝、柴田文隆著、東京農大出版会）を出版した。

科学ジャーナリズムの歴史や対象とする諸分野の紹介にとどまらず、ＡＩ（人工知能）や生命科学の急進展が、人類社会にどのような影響を与えるのかも展望。最近では新型コロナウイルスの世界的大流行（パンデミック）で、リスク管理やリスクコミュニケーションへの関心が高まっているが、本書では「リスク社会とメディア」と題した１章を設けて、リスクをめぐる問題の現状や構造、課題なども論じている。ぜひ一度、読んで参考にしてほしい。

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