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「若いころお世話になった地元の人々に恩返しをしたい。そして日タイ友好の絆をさらに発展させる一助になれば嬉しい」――当NPO「アジア情報フォーラム」(AIF)の会員で横浜在住の澤井政夫さん(84)が関係者の支援も得て、タイ・チェンマイ市内の公園に日本庭園と桜の木を寄贈し、昨年12月中旬、その開園、植樹式を行った。
澤井さんは、1960年代半ばにゼネコンの社員としてタイ北部のチェンマイ奥地に派遣され、「アジアハイウエー」の一部区間の建設に3年間従事した。その時、慣れない不便な生活で、地元の人々に色々お世話になったが、とくに工事事務所の土地所有者と親交を重ね、当時は少年だったその所有者の息子がいま地域の職業大学の学長として成長し、数年前、再会する機会に恵まれた。その折、チェンマイ市内の公園にあった桜が枯れたので、もう一度公園の一部に日本庭園を造り、桜の植樹をしたいと持ち掛けられ、同学長がチェンマイ市長など地元の関係者に理解を求め、澤井さんは日本で多くの支援者を集めた。富山県出身の澤井さんはチェンマイと姉妹都市の富山県魚津市にも協力を求め、自身の私財も含めた関係者の支援で、一定の資金を確保し、桜の木は愛媛県の篤志家から現地の気候と土壌に向く改良種「陽光桜」数十本の無償提供を受けることができた。
日本庭園は「絆園」と命名されたが、本格的なものにするにはまだかなりの資金が必要という。それでも開園式を急いだのは、2017年が日タイ修好130周年であり、また澤井さんが携わった「アジアハイウエー」一部区間の開通50年を迎えた記念の節目の年であったからだ。式典には駐チェンマイ日本総領事やチェンマイ県知事、市長など多数が出席し、澤井さんは挨拶で「この庭園は日本とタイの親善を一層深める架け橋として利用してほしい。毎年桜フェスティバル的な行事が実現できればと願っている」と述べ、今後さらに桜植樹の事業は継続的に続けていきたいとの抱負を語っている。(事務局)