NPO法人 アジア情報フォーラム

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「復興の桑プロジェクト」にボランティアとして参加して

会員  髙橋恒一

復興の桑プロジェクト最高気温16度、北風の強い6月としては異例の寒い1日であった6月2日、仙台市若林区で行われた桑の植樹作業にボランティアとして参加した。日本ハビタット協会(紛争、災害、都市化、貧困による居住環境の悪化問題に取り組んでいる国連機関ハビタットの活動を支援するために設立された特定NPO法人)が、シルク研究の第一人者である長島孝行東京農業大学教授の指導の下に実施しているこの「復興の桑プロジェクト」は、東日本大震災の津波被害が特に大きく、塩害のため通常の農作物栽培が出来なくなってしまった畑に、塩分の強い土地でもよく育ち病虫害に強い桑の木を植え、収穫された桑の葉を乾燥・粉末にして桑茶や青汁として商品化し、もって地域の復興と再活性化を目指すものである。

当日は、地元及び各地からの老若男女合わせて約45名のボランティアが参加し、用意された2500本以上の苗木を2か所の畑に植樹した。津波の被害が特に大きかった地区だけにかなり厳しい作業も覚悟して参加したが、実際の仕事は、用意された苗木を約25センチの長さに鋸で切ることと、2本ずつ束ねて畑に被せられた黒マルチ(ビニールシートのような物)の穴に丁寧に植え付けるというもので、腰痛持ちの高齢者にも特に困難は無かった。昨年試験的に同様な形で挿し木された苗木は、その約9割が根付き、秋までに1,5メートル以上の高さに成長し大量の葉が収穫できたという。昨年収穫された葉から製造された桑茶を試飲したが、上等な緑茶のような甘みがあり中々美味しく、健康飲料としてもポリフエノール、カルシウムだけでなく、血糖値の上昇を抑えるDNJが豊富に含まれているそうで、かなり有望ではないかと思われた。

今回の植樹作業に参加して特に印象的だったのは、イベント全体の雰囲気が極めて明るく、震災地の復興支援にとどまらず、今後持続的に地元の経済を支えていく新しい農業を創造したいという関係者の強い意欲が感じられたことである。地元のテレビと新聞社の取材チームも、熱心に取材していたが、国や県による復興事業の遅れが指摘される中で、「復興の桑プロジェクト」は、被災地の農業関係者、国連機関、NPO,関連企業及びボランティアのチームワークにより実施される新しいタイプの復興と地域の再活性化プロジェクトとして特筆に値すると考える。今回植樹された桑が大きく成長し、商品化がスムースに軌道に乗るよう見守っていきたい。

なお本件プロジェクトを指導している長島教授は、日本国内だけでなく、タイ、インドネシア、カンボジア等の東南アジア諸国でもそれぞれの国の自然条件と社会的・経済的ニーズに対応した様々な「シルク・プロジェクト」を指導しているところ、我々の「アジア情報フォーラム」(AIF)としても今後こうした長島教授の活動をよくフォローし、場合によっては積極的に支援することを検討していきたい。

2013年6月14日 up date

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