NPO法人 アジア情報フォーラム

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第4回 日台民間対話

P1000806わたしたちのNPO「アジア情報フォーラム」(AIF)は10月31日、東京・霞山会館で、台湾の経済界や大学などで活躍する有力者で構成する「扶桑会」の訪日団と第4回日台民間対話を開催し、東アジア情勢や日台交流について意見交換を行った。今回の対話は日本の総選挙と中国の共産党大会の直後、さらにトランプ米大統領の初のアジア歴訪を控えた、重要な政治イベントが相次ぐタイミングと重なったこともあり、双方の参加者は日米、日台、中台、米中関係など多様な視点から活発な議論を展開した。

日台FTAが必要、若者交流の一層の活発化も

この対話はAIFの池田維理事長が冒頭の挨拶に続き、議論の口火を切り、まず米国のアジア政策はトランプ政権の登場で大きな変化を見せているとの認識を示した。そのうえで、同政権はTPP(環太平洋経済連携協定)離脱などアジア太平洋地域での経済的協調に反する立場を見せているが、一方で、核・ミサイル開発で緊張の高まる北朝鮮危機を巡り、オバマ前政権時代の「戦略的忍耐」から、軍事力行使もちらつかせる強硬政策に転じており、問題解決に中国にも強く圧力をかけている、その行動力は日本や同盟国に有益だと期待できるのではないかと分析した。さらに中国の共産党大会で二期目に入った習近平総書記は自らの思想を党規約に盛り込み、毛沢東や鄧小平と並ぶ強力な指導者としての地位を確立したが、その強権体制には徹底した言論弾圧を行うなど“弱さ”も併存している、と指摘した。また、中国の富国強兵政策は周辺国に大きな不安感を与えていることも見逃せない、と述べた。
次いで、台湾グループは彭栄次・前亜東関係協会会長が「台湾では昨年2月に国民党から民進党の蔡英文政権になり、日台関係はそれまでの言わば“忍び逢う恋仲”から手を握り合って堂々と街中を歩くオープンな恋人同士に変わってきた。今はもっと愛情を固め合う具体的な行動が必要だ」と日台友好が一層発展することへの期待を表明した。
P1000811日本側と台湾側を代表したこの両氏の発言のあと、双方の参加者が自由な意見交換に移り、台湾側は「日台は相互交流レベルを一段と上げていくことが重要だ。台湾から日本への観光客は年間400万人にも上っているが、もっと別のレベルの交流、例えば高校、大学同士の連携を図り、交換留学生を大きく増やしていき、それぞれの文化や歴史の相互理解を促進していく必要がある」と語った。日本側もこれに大いに賛成し、「若者の交流をもっと活発にしていくべきだ。日本では最近、修学旅行先に台湾を選ぶ高校もあるが、今後もっと増えていけばいい。日本人の青年が台湾で起業して成功し、奨学金制度を設けて、若者の留学を支援しているケースもある。民間のこうした動きは注目できる」と若者交流の具体例を披露した。しかし、台湾の大学など高等教育機関では、この数年、日台双方の努力により「日本研究センター」が11か所に増え、歓迎できるが、社会科学分野の日本研究者の育成が制度的にまだ整っていないことが今後の課題であるという指摘もなされ、双方がこの改善に協力しあう必要性を訴えた。
台湾側は東アジアの政治・安保状況について「この地域は、北朝鮮問題や南シナ海問題などで厳しい緊張状態が続き、諸課題の行き詰まりに直面しているが、日本や中国などに強力な指導者が存在し、知恵を出し合って良い方向へ事態の打開を図れるよう期待している」とし、中台の両岸関係はついては「長期的に現状維持が続く可能性が強いが、台湾文化の中の中華的な要素を減らそうとしている蔡英文政権に中国は圧力を強めている」と中国が台湾の“文化的独立”の動きに強い警戒心を持っていることを明らかにした。
経済問題をついては、日本側が米アップル社の携帯電話I-PHONEの製造過程における国際的分業体制とその利益配分割合を例示しながら、「中国でこの携帯電話の組み立てをしているのは台湾企業であり、中国は経済発展に台湾を必要としていることを示している」と説明した。そして「ただ、将来的には中国はモノ作りの台湾を必要としなくなる可能性もあり、台湾は累積している金融資産の活用を図るためには米国や日本と連携して新しい経済の道を歩んでいくべきだろう」と提言した。日本側はまた「TPPは米国が抜けたが、残り11か国で合意内容の再調整をする交渉をしており、近く合意が成立し、年内にも発効することになりそうだ。台湾もこれに参加すればどうか」と水を向けたが、台湾側は「当面は日本とのFTA(自由貿易協定)の締結に期待している。日台友好の具体的でシンボリックな存在としてこのFTAは絶対必要だと考えている」と日本政府に積極的な対応を強く求めた。(事務局)

今回の日台対話の参加者は以下の通り。
AIF参加者
池田維理事長、石川弘修副理事長、古庄幸一理事、工藤政博監事
下荒地修二会員、岩永康久会員、高寛会員、池本好伸会員、
松澤寛文会員 阿部純一霞山会常任理事 高木誠一郎霞山会理事

台湾側(芙蓉会)
彭栄次・亜東関係協会前会長、黄重球・中央大学講座教授、
何美玥・総統府国策顧問、董烱熙・能率集団総裁、荘国欽・前立法委員、鄭文哲・世紀貿易股扮有限公司董事長、洪星程・国際創業投資管理公司名誉董事長、林碧炤・国立政治大学前学長、陳添枝・台湾大学経済学教授、頼杉桂・台湾国際造船前董事長、張志良・台日産業技術合作促進会監事、余吉政・台日産業技術合作促進会理事、黄瑞耀・台日産業技術合作促進会理事、黄輝珍・台湾総合研究院董事長、粛勝彦・臺鍍科技有限公司董事長、蘇顕揚・中華経済研究院日本担当主任、呂慧敏・中華経済研究院上級分析員

2017年11月11日 up date

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