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賛助会員 春海 二郎
(筆者は長年、在日イギリス大使館に勤務し、イギリス関係情報を独自に発信するサイト「むささびジャーナル」の運営をしている)
12月25日のクリスマスの日、エリザベス女王による恒例のクリスマス・メッセージが伝えられました。BBCによると、クリスマス・メッセージは女王自身が書くもので、極めて希なものの一つなのだそうです。また当たり前だと思うけれど、BBCの解説によると、女王のメッセージには常にキリスト教徒としての信仰の重要性に触れた部分があるのだそうです。
2000年:「私にとって、キリストの教えと神のみ前における私個人の責任が自分の生き方の基本になっています」(For me the teachings of Christ, and my own personal accountability before God, provide a framework in which I try to lead my life)
2002年:「いい時も悪い時も、私は自分自身を導く信仰に拠って生きています」(I rely on my own faith to guide me through the good times and the bad)
2014年:「イエス・キリストの人生は私の人生におけるインスピレーションであり、錨(いかり)でもあります」(the life of Jesus Christ is an inspiration and an anchor in my life)
そして、いろいろあった今年(2015年)を振り返る言葉は次のようになっている。
ことしは世界が暗黒のときに直面せざるを得なかったことは事実です。しかし聖書のヨハネの福音書には大いなる希望を示す一節が含まれており、これがクリスマス・キャロルの集会でしばしば読まれます。すなわち『光は暗闇の中に輝いている。暗闇はこれに打ち勝たなかった』という言葉であります。
“It is true that the world has had to confront moments of darkness this year, but the Gospel of John contains a verse of great hope, often read at Christmas carol services: ‘The light shines in the darkness, and the darkness has not overcome it.’”
英国を含めたヨーロッパにとって今年の最大の出来事は、シリアなどからの「難民・移民」であり、ISISによるテロであるわけですが、女王は「キリストのメッセージは報復や暴力ではなく、我々はお互いに愛し合うべきだというものだった」(Christ’s unchanging message was not one of revenge or violence but simply that we should love one another)と言っています。