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賛助会員 春海 二郎
(筆者は長年、在日イギリス大使館に勤務し、イギリス関係情報を独自に発信するサイト「むささびジャーナル」の運営をしている)
いま世界の人口はざっと70億人と推定されていますよね。けったいな質問ですが、その70億人が1年間でするおしっこの量はどのくらいだと思います?などと聞かれても分かるわけない。答えは(8月2日付のThe Economistによると)6兆4000億リットルだそうです・・・と言われてもなんだか分からない。東京ドーム5300個分などと言われるともっと分からない。けれど、小便を利用した発電技術なるものが英国のブリストルにあるロボット研究所(Bristol Robotics Laboratory:BRL)が開発しつつある、と聞くと「へえ~」となりません?
小便は英語で “urine” だからそれを使って作られた電気は”electricity” ではなく “urine-tricity”(ユリントリシティ)ということになる。
BRLの研究陣は微生物燃料電池による電流発生実験のために食料廃棄物、昆虫の死体でも実験したのですが、小便を使うと他のものに比べて3倍もの出力が生まれたのだそうです。BRLによると、いまのところは実験段階ではあるものの、ざっと2年ほどで携帯電話やパソコンの充電程度の電力を生むことができるようになるのだそうです。
この開発がうまく行っておしっこが本当に再生エネルギーの源として使えるようになると、世界中でトイレの設置が進むだろうとされています。それはそうでしょう。トイレは単なる「お手洗い」ではなく発電エネルギーの発生装置になるのだから。現在、世界中でまともなトイレを持たない状況にいる人は25億人と推定されており、小便電気の登場はこれらの人びとにとっても大変な朗報になる潜在性を秘めている、とThe Economistは言っています。