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この他に米国ボストンのチャールズタウン海軍基地に係留されている帆走フリゲート「コンスティチューション」や、チリー・タルカワーノ海軍基地に係留されている装甲艦「ワスカル」等を訪問したことがあるが、これらの記念艦と「三笠」を比較した時に大きな違いを感じたことが一つある。外国の記念艦には多くの小、中学生が両親や先生と一緒に見学に来ている。そして見学を終え記念艦から出てきた彼らは、実に明るく誇らしげにまるで自分がヴィクトリーで指揮したネルソン提督に、あるいは「コンスティチューション」や「ワスカル」の艦長に成りきったかの様な生き生きとした顔になっていることだ。
「三笠」はどうだろうか。たまに親子連れで来ているのを見かけることがある。しかし見学を終え出てきた子供達の顔を見ると、何となく暗く反戦児童になったかの様に見える。東郷元帥や艦長になったような子供の顔は、まだ一度も見たことがない。ましてや学校が歴史の授業の一環として、先生が子供達を連れて見学に来ることはないだろう。
どんな国でも戦を好み美化したりすることはない。しかし決して戦を忘れることもない。我が国も主権と領土・国民を守るために、国民一人一人がそれぞれの分を守り、死力を尽くし自存自衛の戦争を戦い、その結果独立を全うできた。その時に戦った海軍・艦隊の旗艦は、今日がある証であり歴史の教材でもある。
新しい海洋国家を目指している日本としては、外交・経済・防衛あるいは教育ともに今や後がないと言われる。「今でしょ『Z』旗を永田町に掲揚する時は」と言いたい。勿論信号の宛先は日本国民総員に対してである。
「国雖大好戦必亡
天下雖安忘戦必危」 (司馬法―仁本)