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国際問題コラム「世界の鼓動」

「平和」の意味

日本について言うと、国内的な平和要因だけとるとアイスランドに次いで世界第二の平和国家なのだそうです。例えば暴力犯罪は非常に少なく、テロも非常に考えにくい(highly unlikely)し、服役者の数(10万人中55人)の少なさは殆ど世界一というわけで、いいことずくめの国です。が、それは国内要因だけを見た場合です。対外要因を見ると事情が違ってくる。まず平和憲法の存在にもかかわらず防衛力の点では「高性能・高能力」(sophisticated and capable)であり、最近では中国の防衛力増強、北朝鮮の核兵器などに対抗してミサイル防衛力の強化などを謳っている。さらに中国との間では尖閣問題、韓国との間の竹島問題などもあり、「近隣諸国との関係」(relations with neighbouring countries)という意味ではGPIトップ10の間では際立って悪いし、全体のランキングでも一挙に88位へと転落する。

今回の調査報告で世界平和度指数(GPI)の数字とは別に興味深いと思う情報としてポジティブ平和指数(Positive Peace Index:PPI)というのがあります。この報告書によると、各国の「平和度」を考えるときに二つのやり方がある。一つは「暴力や暴力への恐怖が存在しない状態」(absence of violence or fear of violence)を考えるという方法で、これをNegative Peaceと呼ぶのだそうです。日本が6位になっているGPIはこれにあたります。「戦争が起こっていない=平和」という考え方です。いわば「受け身の平和」ですね。

それに対してポジティブ平和指数は、平和な社会を築きそれを維持するために必要な制度や政治・社会構造そして人々の姿勢(attitudes, institutions, and structures)がどの程度の強さを持っているのかを国別に比較するものです。具体的に言うとそれぞれの国が「社会の透明度」「高い能力を有した人的資本」「機能する政府」「他者の権利を許容する姿勢」「近隣諸国との良好な関係」等々の点でどの程度発達しているのかということで、これらは「平和」構築のための条件であり、人々の努力次第で強くも弱くもなる・・・その意味では「能動的平和度」とも言える。

PPIについては126カ国が調査対象となっているのですが、トップはデンマークで、以下ノルウェー、フィンランド、スイス、オランダ、スウェーデンなどが続いており北ヨーロッパの国々が圧倒的に強い。英国は15位、日本は16位で、アジアではシンガポール(17位)、韓国(26位)などが30位以内で中国は81位となっています。項目別にみると、日本は「資源の公平な分配」「他者の権利を許容する姿勢」「政治・社会の腐敗が少ない」の3点では「非常に高い」のですが、「機能する政府」「健全なビジネス環境」「自由な情報の流れ」「近隣諸国との関係」では「中くらい」の評価しか受けていない。

報告書の原文はここをクリックすると読むことができます。

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2013年7月1日 up date

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