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国際問題コラム「世界の鼓動」

ヘイトスピーチをヘイトする

むささびがネットで調べたところによると、英国には公的秩序保護法(Public Order Act 1986)というのがあって、人種・皮膚の色・国籍・出生地などを根拠として憎悪感を煽るような行為は法律違反であることが謳われています。条文の一部だけ紹介してみます。

 

 

A person who uses threatening, abusive or insulting words or behaviour, or displays any written material which is threatening, abusive or insulting, is guilty of an offence if:

  • (a) he intends thereby to stir up racial hatred, or
  • (b) having regard to all the circumstances racial hatred is likely to be stirred up thereby.

Offences under Part 3 carry a maximum sentence of seven years imprisonment or a fine or both.


脅迫的・罵倒的・侮辱的なる言語もしくは行動をとるか、あるいは脅迫的・罵倒的・侮辱的な文書を開示する人物は次のような場合には有罪となる。

  • (a) 当該人物がその行為によって人種的な憎悪感を扇動する意図がある場合(b) あらゆる状況を考慮に入れて、当該人物の行為によって人種的な憎悪が引き起こされる可能性が高いと認められる場合

上記のような場合は、最高7年間の禁固刑もしくは罰金刑、あるいはその両方に処せられるものとする。


この法律は2008年に改正され、人種にまつわる侮辱に加えて性的傾向にまつわる侮辱行為も有罪の理由になるとされています。昨年2012年1月20日付のGuardianに、ダービーで暮らすイスラム教徒が同性愛者を侮辱かつ脅迫するような文書を配布したことで有罪判決を受けたという記事が出ていました。「憎悪扇動行為」そのものがなされたのは2010年のことです。

このイスラム教徒たちが近所で配布した反同性愛パンフレットには次のような見出しが大々的に印刷されていたのだそうです。

  • God Abhors You(神は貴方たちを忌み嫌っている)
    3つの単語の頭文字を繋げるとGAYになるというわけ。
  • Death Penalty?(死刑もあり?)
    同性愛などという反道徳的な行為を止めさせるには死刑しかないと訴えている。
  • Turn or Burn:(同性愛をやめるか焼かれるかのどちらかを選択しろ)
    裁判ではTurn or Burnというパンフレットを受け取った人が「自分も焼き殺されるかもしれない」と恐怖を感じたと証言したのだそうです。

ロンドンに戦略的対話研究所(Institute for Strategic Dialogue)というthink-tankがあり、そこでもヘイト・スピーチについて研究をしているのだそうで、関連組織が行っているNOTHING HOLY ABOUT HATRED(憎しみに神聖なものはない)というキャンペーンはヘイト・スピーチの温床ともなっているソシアル・メディアを使ってヘイト・スピーチを撲滅することを目標としているのだそうです。

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2013年6月17日 up date

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