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国際問題コラム「世界の鼓動」

わが国のミャンマーに対するODAについて ― その経緯と現状

今回の新規借款は3件で総額510.52億円であり、その概要は次のとおりである。

(1)  貧困削減地方開発計画(フェーズ1) 供与限度額170億円

ミャンマー全国の7地域および7州において、生活基盤インフラ(道路、電力、給水等)の新設・改修を行うもの。

(2)  インフラ緊急復旧改善計画(フェーズ1) 同140.52億円

ミャンマーでは電力不足が深刻で、特に水力発電が減少する乾季には計画停電が発生する等電力需要の逼迫が経済・社会活動にも影響を与えている。今後、電力の安定供給体制を確立するため、ヤンゴン都市圏の火力発電所・変電所を改修し、出力の増強・効率化を図るもの。

(3)ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ1)同200億円

ヤンゴン近郊のティラワ経済特別区は、優先的に開発を進めることとされているが、企業誘致を促進するには更なるインフラ整備が必要とされている。そのため、電力関連施設(発電・変電・送配電等)の整備および港湾の拡張を行うもの。

 

上記借款に適用される条件は次のとおりである。

金利:年0.01%

償還期間:40年(10年の据置期間を含む)

調達条件:一般アンタイド

 

上記円借款と同じく、2013年5月26日、ミャンマーの首都ネーピードーにおいて以下の2件の無償資金協力に関する両国政府間の書簡の交換が行われた。

(1)ヤンゴン市水道施設緊急整備計画  供与限度額 19.00億円

ヤンゴン市の水道は、施設の老朽化、予算不足により維持管理が適切に行われていないことから、断水、低い給水圧、時間給水、漏水50%等種々の問題を抱えている。このような状況の下、緊急に改修が必要な浄水場施設、及び市内の配管を改修することにより上水道サービスの改善を図るもの。

(2)人材育成奨学計画  同4.56億円

改革を進め、国造りを担う優秀な人材の育成はミャンマーにとって極めて重要な課題となっている。本計画は、ミャンマーの若手行政官を対象に、日本に留学するために必要な学費等を供与するもの。

 

4.今後の方向

JICA は、対ミャンマー支援の今後の方向として、

(1)  People’s Livelihood(保健、教育、農村開発、少数民族支援等)の向上

(2)  Capacity Building(法支援、金融システム、ビジネス人材育成等)

(3)  Infrastructure (電力、運輸、上下水等)整備

の3つを柱として協力を拡充したいとしている。

 

ミャンマーは従来から親日的な国で、円借款中断の前は各界の人的なつながりも非常に強固なものがあった。その後の軍事政権出現でつながりが弱くなってしまったことは否めないが、この間、ODAの世界では日本は他のASEAN諸国との交流を一段と深め、ODA事業について広範囲かつ数多くの経験を積んでいる。これらの経験とそれに基づく知見をうまくミャンマーに適用し、効率的な支援を行うことによりミャンマーの持続的成長をできるだけ早期に実現させるための梃子として活用することが望ましい。(完)

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2013年6月14日 up date

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