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国際問題コラム「世界の鼓動」

叱り、讃(ほ)める

海軍は艦艇にしても飛行機にしても技能集団的な一面があり、各レベルに於いて指揮官と部下は個人でなくチームとしての戦力が求められる。指揮官の権限は絶対であり、命令・号令通りに一人一人が、戦闘システムの歯車として動くためには厳しい訓練が求められる。戦で生き残るための訓練には危険を伴うことが多く、当然そこには「叱り」が必要となる。今の海上自衛隊でも同じである。しかし私心を以って怒ることはない。そして出来上がった時は讃めることを忘れない。この流れが出来れば部下は必ず動くと訓える。

レベルは違うが現役を離れ、この年になっても讃められると嬉しい。しかし讃められる前に、叱られる心地良さも今更ながら感じる時がある。筆者は趣味として佛像彫刻教室に通い、数人の仲間と一緒に佛像彫りを習っている。月に二回自分の作品を先生に見てもらう。「ここは図面通りでないですね。もっときちんと計り直して。彫刻刀の研ぎも悪い・・・」と先生は自ら彫りながら教えてくれるが、注意(叱り)は生徒にとって厳しい。そして「なかなか個性のある顔に彫れていていいですよ。」と言葉を選びながらも讃めてくれる。私より年配の生徒さん達も同じように叱られるが、最後は讃められて嬉しそうな顔をしている。上手く彫れてない事が判っていても「よし次は頑張ろう。そしてまた讃められたい」と思う。

昨今、家庭や学校教育の場で虐待・体罰・暴力事件が起こって連日ニュースで流れている。一部の親や指導者は最も大切な思い遣り、そして暖かく「叱る」ことと「讃める」ことを忘れてしまったのではないだろうか。命を掛けて国のために戦う訓練の場でも「部下を信じ、愛して叱って讃める」ことが一番と言いきった山本さんの言葉を思い出す。

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2013年6月4日 up date

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