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第二次大戦後にヨーロッパは一つになって二度と戦争を起こさないようしようという、いわゆる「ヨーロッパ・プロジェクト」の推進役であったドイツとフランスの国民の対EU感覚が相当に違ってきていることは注目に値するとPew Researchは言っています。
調査対象になった国民のうち特に現状にイライラ感を募らせているように見えるのがフランス人で、景気が悪いと言う人が91%にのぼり、オランド大統領に否定的な意見が67%にも上っています。サルコジさんよりも24ポイントも低いのですね。さらにヨーロッパ統合というプロジェクト(European project)についても否定的で、77%ものフランス人がヨーロッパの経済統合のお陰でフランス経済がダメになったと考えている。
これをドイツと比べるとフランス人の幻滅現象がよりはっきりする。まず景気ですが、「悪い」というドイツ人はたったの25%、メルケル首相に批判的な人が昨年(19%)より増えているとはいっても25%だから、フランスのオランド大統領にしてみれば羨ましい限りです。ヨーロッパの経済統合については43%が「お陰でドイツ経済がダメになった」と言っているのだからこれは必ずしも少ないとは言えない(けれどフランス人の幻滅感に比べればまだ落ち着いている感じです)。
Pew Researchのサイトにはこれ以外にもいろいろなデータが出ているのですが、全部を紹介するのはムリ。というわけで最後に、調査対象になった国民が自分たち以外の国についてどのようなイメージ(stereotype)を抱いているのかを示す下記の表を紹介しておきます。イメージの中身を紹介しておくと:
Trustworthy:信頼できる
Arrogant:傲慢
Compassionate:思いやりがある
というわけで、それぞれにmostとleastがついています。
何と言っても際立つのはドイツに対する信頼感(Trustworthy)ですね。ギリシャ人以外の全員がドイツを「最も信頼できる」(Most Trustworthy)と言っている。ドイツ人までそう言ってるのだから間違いない!?では「信頼できない」(Least Trustworthy)はどうかというと、予想通り「南欧」が圧倒的なのですが、イタリア人は自分たちのことを「最も信頼できない」と言っている。これ、信頼できます?それから、ポーランド人はドイツへの信頼感についてMostとLeastの両方に載せている。複雑です。
ちょっと笑えるのは「最も思いやりがある」(Most Compassionate)の欄です。どの国の人も自分たちの国が「最も思いやりがある」と考えているということですね。それからドイツ人が冷たいと思われているようであります。