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ユネスコ統計研究所の統計によれば、インドネシアの大学・短大進学率は2008年に20%を越え、2010年は23%である(日本は2010年において60%)。大学進学率が二割から三割をこえると高等教育の大衆化が始まると言われるが、インドネシアはまさに近年に大学大衆化の段階に入ってきたことになる。
インドネシア政府の高等教育行政アドバイザーの和気大司JICA専門家の報告によれば、この国の高等教育人口は確実に増加を続けており、2009/2010年には400万を超える学生が高等教育機関で学んでいる(ウェブマガジン「留学交流」2011年8月号)。2010年の日本の大学生・大学院生数が288万人であることを考えると、その規模がいかに巨大か理解できよう。
23%という大学進学率について、インドネシア政府は他のアセアン周辺国と比べて不十分と考えており、2014年までに30%台に引き上げたいと考えている。和気専門家は、大学生総数のうち私学生の占める割合が2006/7年の68%から2009/10年に58%と10%低下していることから、国立の高等教育機関増が総学生数増の牽引車になっていることを指摘している。インドネシア国家が真剣に高等教育の強化に取り組んでおり、経済成長を続けるインドネシアではこれからも大学生の数が拡大していくことが予想されるのである。
これは、今後少子高齢化で急速に学生数が減っていく日本の大学にとって、どのような意味をもつか、説明の必要はないだろう。日本学生支援機構の統計によれば、2011年のインドネシアから日本留学生数は2162人で、出身国別留学生数の第7位に位置している。1位の中国87533人や2位韓国17640人と比べると及ぶべくもないが、4位ベトナム4033人、5位マレーシア2417人、6位タイが2396人であることを考えると、母数の規模からして、まだまだ伸びしろがある。中国や韓国からの留学生数が停滞、減少傾向にあること、高校で日本語を学ぶ生徒が70万人近くもいて韓国、中国に次いで世界第3位の日本語学習人口を抱えていることを考えると、インドネシアは将来日本への留学生送り出しの「大票田」になる可能性があるのだ。
このようにすそ野を広げつつこの国の高等教育機関の頂点にあるのが、インドネシア大学、ガジャマダ大学、バンドン工科大学、ボゴール農科大学等の歴史と伝統のある名門国立大学である。インドネシア・ナショナリズムの成長とともに発達してきて、これら名門大学へはインドネシア国民の期待も大きく、注目度も高い。学生たちも自分たちがインドネシアの未来を担うエリート予備軍であることを自覚している。