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賛助会員 小川 忠
(筆者は国際交流基金のジャカルタ事務所長として独自に情報発信をしている)
この国における日本研究の拠点である同大学に出前講義することで、幾らかでも彼らの日本研究を活性化することにお役にたてたら、という考えから始めたものだ。日本でも早稲田大学大学院アジア太平洋研究科で若い大学院生や留学生たちと、日本の公共政策としての国際文化交流について語り合ってきた。少し実務から距離を置いてみるのは、自分の仕事を見つめ直す上でも意味あることだろう。
ふり返ると20代の頃から、東南アジアの日本研究支援に関わってきた。久しぶりにインドネシア大学の教壇に立ってみて、やはり30年に及ぶ時間の流れは、この国においても、大学という「知」の頂点に立つ社会制度そのものを、内に外に変化させつつあることを実感する。変化を生んでいる要因は、①インドネシア社会における高学歴化の進行、②「象牙の塔」化への批判、③「成果主義」の導入、④大学間の国際競争と国際協調に集約できよう。今回の通信は、以上の四つの要因からインドネシアの大学の変化について語ってみたい。