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国際問題コラム「世界の鼓動」

イスラエルー資源立国への道と安保戦略の変化

1967年に勃発した第三次中東戦争において、一つの転機を迎える。この戦争は6日間のうちにイスラエル側の圧倒的勝利に終わったということから「6日戦争」とも称されるが、この短期間の戦闘において、イスラエルは資源戦略的に重要なシリア領ゴラン高原の一部、トランス・ヨルダン領ヨルダン川西岸地域、エジプト領のシナイ半島(ガザ地区を含む)を併合する。

ゴラン高原はイスラエルにとり主要な水瓶である北部ガリラヤ湖の上流水域であり、ヨルダン川西岸地域は比較的浅い地層における豊富な地下水源が確認されていた。これにより、イスラエルは水資源における安全保障をほぼ完全に掌握することとなった。特に、西岸地区のヨルダン渓谷は豊富な地下水源に加え、広大な平野と肥沃な土地があることで知られており、当該地域は現在イスラエルにとり換金作物の農業バスケットとして機能している。また、シナイ半島においては、かなり以前より巨大な石油資源の鉱脈があることが発見されており、占領後はいち早く入植活動及び石油生産活動を開始し、1970年までには既に相当量の石油生産をするに至った。

同時期、60年後半から70年代にかけては中東イスラーム圏において例外的にレザー・シャー国王下のイランと比較的良好な外交通商関係を維持した。この結果、イスラエルは同国より一定量の石油供給を受けることもできた。

このように、イスラエルは一時期安定した石油供給を享受するが、決して長続きはしなかった。1979年に勃発したイラン・イスラーム革命を契機に、同国との蜜月状態が解消され、同国からの石油供給は完全にストップした。また同年、イスラエルはエジプトとの間に平和条約を結んだ。イスラエルはエジプトとの和平と引き換えに、シナイ半島の返還を合意し、同地域における石油生産が停止された。

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2013年7月17日 up date

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